暮らしの中での思い事をつづります


by carmdays
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心の旅路~わたしの夢

北風が強く吹きつける朝早くに、確定申告をしに税務署へ出向いた。収入の申告ではなく、家族の医療費をまとめて控除するために出向いたのだが、一年間の努力の結晶をお国に申告するために訪れた人が既に長蛇の列をなしていた。不思議と税務署に来ると、納税という国民の三大義務の一つを果たしている誇りを感じる。

そんなことを思いながら手続きを済まし、外に出ると青空が広がっていた。まだ朝の十時、手持ち無沙汰でどうするかと考えた末に、すぐ近くのショッピング街に足を向けた。そこには大型書店があるのだ。

書店の端から端まで本を見て回ろうと思い、各棚を見て歩いていると、資格コーナーに出くわした。秘書検定、介護、公務員試験、ファイナンシャルプランナーと、さまざまな職業に必要な資格本が並んでいた。世の中にはいろいろな職業があるものだ。そんな物思いにふけっていると、一番上の棚に、カラーコーディネーターの検定試験の本があるのを見つけた。なんて夢のある仕事だろうと、思わず口をついて出た。暮らしを彩るカラーコーディネーターという言葉には、不安などない明るい暮らしの息吹があるように感じられた。

いまの仕事に就く以前は、常に職探しに追われ、あちこち奔走していた。それは生きるためであり、暮らしのためであった。そうすることに夢がなかったわけではないが、どうしたら生き残れるか、どうしたら次の仕事を手にできるか、生き抜くための戦略が不可欠だった。外資企業で働いたり派遣社員として働いたり。立場が常に不安定で、生きることに必死にならざる得ない状況に常に身を置いてきた者の一人として、安定した暮らしは夢だったのだ。

夢のある仕事か・・・。夢なんて随分久しく、考えてもみなかったなぁ。

改めてわたしにとっての夢とは、一体なんだろうと考えてしまったのである。一通り思い巡らしてみると、わたしの夢は今の暮らしの中にあることに気づかされた。それは、穏やかで、慎ましくも楽しく働くことができるいまの職場で定年まで働き、そのかたわら大好きなエッセイを書けること。そして、愛猫たちの可愛い寝顔を毎日見守る、そんな日常を手にできることが夢となっていて、気づけば、いまはその片鱗が叶う暮らしになっていた。ありがたいことだなと感謝の気持ちが湧いて出る。

昔ははるか遠くを夢見ては、ああでもない、こうでもないと格闘しもがいていたものだったが、ひとしきり他者と戦い、自分と闘う過去半生を過ぎてみれば、わたしの求めているものは、そんな小さい暮らしの中にある幸せだった。

そのことをワシントンに暮らす友に話してみた。彼女もまた、夢を追いかけていて、半ば実現しているのだけれど、それを完結させるべく日々頑張っていた。彼女は国際協力の仕事がしたいとの希望通り、学校を卒業するとコンサルタントになった。その後、生きていくための力としてのスキルを得るために、イギリスに留学し、その後月日を経て、国連の職員となった。世界の大舞台で活躍する彼女は生き生きとしている。もちろん彼女にも未来への不安はあるだろうが、それよりも自分の夢を実現できる喜びを全身で、こころ一杯に感じているように思える。そんな彼女を応援したいと思い、わたしも自分の望むいまの小さな暮らしの幸せの在り処を大事に守っていきたいと思うのだ。そういう意味では、わたしの場合は夢のある仕事は何かというよりも、夢のある暮らしとは何かということのほうが重要なのだと気づかされた。

友は自己実現に、わたしは穏やかな暮らしと、それぞれ未来に求める夢の形は違う。だが、そうやって互いに求めるものを日々の中で探し見つけて行けるなら、これほど幸せなことはないのではないかと思えるのだ。

いま、時代は不況の最中にあり、明日を憂い、先の見えぬ日々を過ごしている人がいる。かつてのわたしがそうであり、いまもなお身近にそういう人がいる。そして、またいつ自分もそうなるかもしれない時の中で、わたし達はいつしか夢を見ることを忘れてしまう。だが、夢見ることは誰にでも許されている生きる力である。

もしわたし達から夢が消えたら、あるのは重苦しい現実だけだ。夢があるから希望を抱くことができる。たとえその実現が気が遠くなるほど遠いものであっても、自分だけは未来を消して放り出さないという思いが、いつしか、わたしたちを夢の実現の入り口まで連れて行ってくれるのだろう。

本屋の資格コーナーで見たさまざまな資格は、無数の仕事に未来でつながっていた。そこには多くの人の夢が託されている。さあ。わたしも夢を思い描こう。こうであったらいいと願う未来の夢を。


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by carmdays | 2015-05-27 08:13