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暮らしの中での思い事をつづります


by carmdays
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選択

誰もが、それぞれの人生の中で、何かを諦め、何かを選びとってゆくのだろう。

大きな決断などではない。

そんな時が自然にやって来るのだろう。

そしてアラスカもまた、人の一生のように、新しい時代の中で何かを諦め、何かを選びとってゆく。

~「最後の楽園」by 星野道夫~


自分の人生と重ねてこの一節を読み返す。

昨年の春、わたしは静かな決めごととして、仕事を辞めた。

仕事をたんに辞めただけじゃなく、その業界にもさようならを告げた。


仕事が嫌いだった訳じゃない。

自分と闘い、他者と戦う事に疲れたからだった。

そんな闘う人生を終わりにしたかった。


きっと、自分じゃ気づかなかっただけで、それはもっと前に、本当は分かっていた事だったかもしれない。


わたしの友達で、2歳になる子どもがいる。

いつも子どもと二人、うららかな日々を過ごしている。

彼女は結婚すると、きっぱりと「もう働かない」と宣言し、専業主婦になった。

子どもが生きがいだと言う。

その潔さが好きだった。

そして、彼女を見ると、暮らしという物は本来穏やかなもので、

人生を穏やかに過ごすことも本当はできるものなのだと言う事を教えられる。


わたしの当時の選択は、大袈裟に決断した出来事ではなく、静かに潮が満ちるように訪れた

決めごとだった。

そして、「長かった」と口を突いて出た。


それだけの長い年月、一体わたしは何と闘っていたのだろう。


確かに、そうせざるえない状況というのもあったけれど、それが必要な時期であったかもしれないが、

自分という物をよくわかっていたなら、きっと他の生き方もできたのかもしれない。


そんなわたしの原点に立ち、これからを考えた時期になった。


誰もが、それぞれの人生の中で、何かを諦め、何かを選びとっていくと言う。


わたしは何を諦め、何を選びとったのかと言えば、

上へ上へと目指そうとする生き方を手放し、穏やかな暮らしを選びとったのだった。


昔、ある人にこう言われた事がある。


Aという道と、Bという道と。

後から振り返った時に、後悔しない選択をする事だと。


当時私はこう思っていた。

人はどちらを選んでも、必ず途上で後悔をする時を迎える事があるのではないだろうか。

だからこそ、なぜその選択をしたのか、その理由さえいつでも辿り返せれば、

それは後悔しない選択と言えるのではないだろうかと。

なぜなら、選択時の理由さえ心に留め置く事ができれば、今と結果に納得がいくからだ。


でも、今はこう思う。


自分をよく知り分かっていれば、きっと、おそらく、後悔しない選択ができるようになるのだろう。


昨年わたしに訪れた静かな決めごとは、確かに今の私の暮らしと人生を変えてくれていたのだった。
by carmdays | 2012-01-03 17:37 | 星野道夫の世界観